
本記事では、原作者の尾田っちが深く携わったワンピースFILMシリーズ3作品「STRONG WORLD」「Z」「GOLD」の小ネタや裏話を紹介します。
目次
・STRONG WORLD
‐クリスタル航海記
‐シキとダフトグリーン
‐時系列
‐原作で描きたかったアイデア
‐0巻のセリフ違い
・Z
‐ジンベエとCP9
‐ハートの石
‐ルフィのアンチテーゼ
‐ゼットの再登場
・GOLD
‐隠れキャラクター
‐宝樹アダム
‐レイズマックスとリッカ
‐「七百七十七」ではなく「七七七」
STRONG WORLD
クリスタル航海記
2008年3月公開の「エピソードオブチョッパー」上映後に流されていた来年春公開予定作品の予告映像では、「STRONG WORLD」の前身にあたる「クリスタル航海記」という作品の予告が流されていました。
この予告映像にはシャンクスや白ひげが“金獅子”を語る場面が存在していて、当初から敵が“金獅子”であったことには変わりなかったようですが、「キネマ旬報2016年夏の増刊号」に掲載された「STRONG WORLD」の境宗久監督へのインタビューでは、この「クリスタル航海記」はナミの過去を掘り下げる衝撃的な内容だったことが明かされました。
尾田っちから「感動作に媚びすぎたため少年たちがワクワクする内容に修正したい」と言われたため、公開延期となり「STRONG WORLD」が完成したのだそうです。
シキとダフトグリーン

ワンピース STRONG WORLD より引用
“金獅子のシキ”の顔のアザは有害物質ダフトグリーンによるもの。
メルヴィユの島に来た当初は毒に冒されたものの、年月を経て制御法を得たのだそうです。
時系列
この作品は尾田っちが唯一ゼロからストーリーを作り上げているため、時系列がしっかりと設定されている作品で、エピローグでナミの“記録指針”が下(魚人島)を指していることと、ブルックが麦わらの一味に加入していることから、スリラーバークからシャボンディ諸島の間の出来事だと推測することができます。

ワンピース 510話より引用
ただ、ゾロが“阿修羅”でDr.インディゴを倒す場面を目撃していたチョッパーが、その後のシャボンディ諸島で“阿修羅”を初めて見たかのような反応をしている点において唯一矛盾が生じてしまっています。
原作で描きたかったアイデア
「STRONG WORLD」の画集に掲載された尾田っちのインタビューでは、原作で盛り込みきれなかったアイデアが多数入っていることが明かされています。
メルヴィユに生息する森ダコは空島編で出すつもりだった動物、金獅子のシキの頭に刺さっている舵輪はバーソロミュー・くまに付けようと思っていたのだそうです。
0巻のセリフ違い
「STRONG WORLD」の入場者特典で配布されたコミックス0巻には、なぜか複数のバージョンが存在していて、特に0話のセンゴクのセリフは結構変わっていて、どちらが正しいのか不明です。
他にも設定画のゾロの服の色など微妙な違いがあるみたいです。
Z
ジンベエとCP9

ワンピース FILM Z より引用
「FILM Z」で青キジがエンドポイントの説明をしている場面で、背景に映されていた海賊たちの中にはファンブック「GREEN」に掲載されていた初期構想時のジンベエ、ジャブラ、クマドリの姿が確認できます。

ワンピース FILM Z より引用
仮にこの海賊たち全員が尾田っちの設定ノートを参考に描かれているのであれば、この3人以外の海賊たちも原作に未登場の構想中のキャラクターの設定画を参考に描かれている可能性もあるかもしれません。
ハートの石
セカン島の温泉街のモデルは長崎の「眼鏡橋」。
川沿いの石垣にあるハート型の石は映画でも背景に隠されていて確認することができます。
ルフィのアンチテーゼ

ワンピース FILM Z より引用
「FILM Z」オフィシャルムービーガイドでは、この作品においてルフィをフィーチャーするために、ゼットはルフィのアンチテーゼとして生み出された存在であることが明かされています。
若くて、能力者で、自分の気持ちに正直なルフィに対して、年老い、能力者ではなく、感情を押し殺してきたという風にいろいろな特徴が正反対に作られたのだそう。
ゼットの再登場
「シアターカルチャーマガジンT.」2012年秋号に掲載された尾田っちへのインタビューではゼットの原作登場の可能性について言及されています。
「チャンスがあればそれは考えたいですね。映画でこういうキャラクターがいましたよ、とその存在を知られることによって、原作だけを読んでいるファンが分からなくなることは避けたいので。映画だけの存在ってあまりよくないので、どこかで違和感のないように、話に溶け込ませないといけないですね。」
GOLD
隠れキャラクター
「FILM GOLD」にはパッパグ、ヘラクレス、ワンゼ、アブサロム、ゲダツに加えて、SBSで登場した海軍中将「茶豚」と「桃兎」の7人が隠れキャラクターとして登場しています。
さらにテゾーロがマリージョアから脱走するシーンでは、ゴルゴン三姉妹のシルエットも確認できます。
宝樹アダム
「キネマ旬報2016年夏の増刊号」では、グランテゾーロのゴルフ場にある大きな木が宝樹アダムの幼木であることが明かされました。
「FILM GOLD」の宮元宏彰監督が裏設定として描いたそうです。
レイズマックスとリッカ

ワンピース FILM GOLD より引用
「FILM GOLD」の終盤にはレイズマックスの頭上にリッカが乗っている場面が描かれています。
「巻七七七」に掲載されている設定画ではリッカには裏設定があることが明かされていることに加えて、作中では地下牢獄の人々が「おれ達の借金のせいで家族が上で必死に働いている」と発言していたことから、リッカはレイズマックスの息子か孫なのかもしれません。
「七百七十七」ではなく「七七七」
2016年6月20日に配信された「スクールオブジャンプ」では、「FILM GOLD」の入場者特典で配布されたコミックの正式名は「巻七百七十七」ではなく、カジノのスロットにちなんだ「巻七七七(なな・なな・なな)」であることが明かされました。
劇場で配る巻数も尾田っちがこだわって決められているそうで、仮に今後「巻七百七十七」が発売されても数字が被る心配はないということですw